「バンドがもし一人の人間で。ヴォーカルが頭でギターが手。ドラムスが足だとしたら、ベースはなんだと思う?ここだよ、少年。心臓だ。わかる?きみがいなければ、私たちは動かない」

 キレイで、熱い作品でした。
 みけから勧められたは良いものの、火目の巫女の作者ということで半信半疑。結局読むのをダラダラと先延ばしにしていたのですが、後悔しました。もっと早く読んどけばよかった。
 あらゆる文章に無駄がないってのは凄いことだよなー、と感心。完全さとはつけ加えるものが何もない状態というよりはむしろ、取り去るものの何もない状態のこと、っていうのはサン=テグジュペリの言葉だそうですが、それに近い。最近アレな作品しか読んでなかったから、そう感じるだけかもしれないけど。
 動機付けが明確っていうか、必然性に基づいて展開されていく話が好きです。このキャラならこういう展開でこういう風に動くな、っていうのがはっきり伝わるっていうのは大事ですよね。好き勝手に暴走されても、それはキャラクターが生き生きしているとは言えないのです。その点、この作品はちゃんと自分のポジションを弁えて動いている感じがしたのが面白く読めた要因の一つでしょう。
 とまあ、そんな講釈は置いといて、単純に面白かった。最近アレな小説とか面白くてもアクが強い作品しか読んでなかったんで、ちょうどいい清涼剤でした。ナイス正統派。
 小説とはまったく関係ないけど、役に立たない心臓は摘出されて他の心臓が移植されるんよ。
 そんな人間にも「ベースやってたのもまんざら悪くない」って思わせるくらいに清々しい作品だったのですよ。
 とりあえず、負けてられねえ!と奮起してさっそく新しいプロット作成。
 でも作業BGMがハラタマキヨタマな時点で、どんな作品を書こうとしてるのか想像がつくね。

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